みつなりのまったり人生録

読んだ小説の感想や、外国語の学習状況、日々の気付きをつらつらと書いていきます

秋田の星 安東愛季!「斗星、北天にあり」①

早速今読んでる歴史小説のお話をしたいと思います。

 

今読んでる本は、斗星、北天にありという鳴神響一さんの作品。

戦国時代の安東氏を描いた作品になります。

 

この作品の主人公はズバリ、檜山安東家8代当主安東愛季(あんどうちかすえ)(1539~1587)!!

当時の檜山安東氏は現在の秋田県北部、能代市の檜山城を拠点にしていた一族です。

 

主要港の能代は、大型船が停泊できるように整備されておらず、かつてのようにアイヌらの北国船や上方との交易でも存在感を出せていませんでした。

一方、南の分家的存在である湊安東氏は、土崎という活気あふれる港で交易を盛んに行っていたのです。

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安東氏の大体の拠点地。赤が檜山安東氏(ピン留めしてあるのが檜山城)、青が湊安東氏。

 

自分たちの土地が貧いことを痛感し、周辺を南部氏などのライバルに囲まれていた安東愛季は危機感をつのらせます。そこで、能代の港を拡大し、交易をもって民に富をもたらし、安東氏を再び東北随一の勢力に戻そうと考えます。

 

こうして、安東愛季と周囲の人々による安東氏の復興劇が幕を開けるのです!

なかなか面白くなりそうですよね。

 

でも・・・

安東氏って聞いたことがない人も多いかもしれません。

 

マイナーな武将なので、大河ドラマ歴史小説を見ても滅多に出てきません。

そんな安東氏が主役の座を担うこの小説、珍しくて見つけた瞬間に買いでした(笑)

 

安東氏は、実は我が家とも関わりがあるようで前々からいつか詳しく知りたいと思っていたんです。

でも、この本を読むまで私は安東氏についてほとんど知識がありませんでした。

 

なんで安東氏は檜山安東氏と湊安東氏に分かれているんだろう?

そのレベルからのスタートでした(汗)

 

検索をかけても、本を探しても、なかなか情報が得にくいと思ったので、この場でざっと安東氏の紹介をしていこうと思います!

東北の方々、戦国ファンの方、安東氏ファンの方に何か少しでも収穫をもたらすことができれば幸いです…

 

鎌倉時代の安東氏

安東氏は元々秋田ではなく青森を中心とした勢力でした。

津軽半島の十三湊を中心として、アイヌとの交易などを背景に北海一ともいえる繁栄を築いたと言われています。

 

室町時代の安東氏

安東氏の分裂 

時の当主安東盛季は、弟の鹿季を分家させ秋田群に南下させます。これには、南方に別の当主を立てることで京都とのつながりを強化する狙いがあったとされます。そのため、湊安東氏は代々朝廷や管領細川氏とも関わりが強かったそうです。

これにより、安東盛季はのちの檜山安東家初代当主に、弟の鹿季は湊安東氏初代当主となったのです。

安東氏の絶頂期

津軽に残った宗家は権勢をふるい続け、朝廷にもその存在を認められていました。

それを表す事例として、二代康季は天皇より「奥州十三湊日ノ本将軍」と認められます。

安東氏の津軽撤退

三代義季の時代には、八戸から勢力を拡大した南部氏が侵攻し、安東氏は破れてしまいます。その戦で、義季は敗死してしまいます。

その子、政季は南部家の庇護を受けて下北半島に所領をもらい、なんとか四代目当主となって(檜山)安東氏を存続させます。

しかし、1454年には再び南部氏に攻められ蝦夷地へと逃れます。2年後の1456年、男鹿半島に入り、檜山群に支配を広げて檜山城を拠点にすることとなったのです。

小説上の愛季の時代へ

五代、六代、七代と続いた檜山安東氏。

アイヌとの交易を重視し、なんとか家は続いていきます。

南にいた湊安東氏との関係はと言うと、七代舜季の時代に距離が近づきます。

というのも、舜季は湊安東氏当主堯季の娘を嫁に迎えたのです。

いわゆる政略結婚であり、その間に生まれた主人公・愛季は檜山安東氏と湊安東氏の両方の血を継ぐ友好のしるしでもありました。

さらに、湊安東氏当主の堯季には男子が無く、愛季の弟を養子にとって家を継がせます。よって、愛季の時代には檜山安東氏の血を継ぐ茂季が湊安東氏当主となっていたのです。

こうした背景もあってか、小説上でも二つの安東氏は敵対関係にあるわけではありません(多少の小競り合いはありますが)。

 

以上が小説の時代以前の安東氏紹介です!

元々一つだった津軽の安東氏が分家し、その後南部氏の攻撃で津軽を去ることになり、本家の安東氏は秋田北部の檜山に落ち着く。分家した湊安東氏の方は秋田に根を張り続けていた。

こういった流れが見えたでしょうか…?

 

小説の時代の安東氏は、日ノ本将軍と言われた時のような力はなかったように思えます。さらに、富の源であるはずの能代港での交易が不調なわけです。

能代を素通りして別の港を目指す船を絶えず目にしていた愛季はここから安東家の発展を目指すことになります。

 

小説の今後

さあ、二つの安東氏がどのように絡み合って安東氏の再興がなされるのか?

愛季は戦国の乱世にどう立ち向かっていくのか?

港の再建はうまくいくのか?

もう少し読み進めて、また記事を書こうと思います!

 

安東氏について別の見解や、新しい情報があるよって方ぜひ教えてください!

よろしくお願いします。